2023年7月21日に公開された映画「オッペンハイマー」は、クリストファー・ノーラン監督が手掛けた歴史ドラマです。この映画は、原子爆弾の開発に大きく関わった物理学者、J・ロバート・オッペンハイマーの人生と、彼の功績や苦悩を描いた作品として高い評価を受けています。
記事の前半は、映画「オッペンハイマー」についての概要を書いていますが、後半はあらすじを書いています。そのため後半はネタバレしますので、ご注意ください。
映画「オッペンハイマー」の基本情報
監督
- クリストファー・ノーラン
「インセプション」や「ダークナイト」シリーズで知られる名監督です。
出演者
- キリアン・マーフィー(J・ロバート・オッペンハイマー役)
- エミリー・ブラント(キャサリン・オッペンハイマー役)
- マット・デイモン(レスリー・グローブス役)
- ロバート・ダウニー・Jr.(ルイス・ストローズ役)
- フローレンス・ピュー(ジーン・タトロック役)
受賞歴
映画は公開後、数々の映画賞にノミネートされ、高い評価を得ました。アカデミー賞の最有力候補としても注目されています。
話題となったエピソード
映画の制作において、ノーラン監督はCGを極力排除し、爆発シーンを実際に再現したことが話題になりました。また、キリアン・マーフィーは役作りのために大幅な体重減少を行い、その演技力が絶賛されています。
※以下ネタバレ注意です。
ここからは、映画の物語についてです。まだ映画をご覧になっていない方はご注意ください!
映画「オッペンハイマー」のあらすじ
あらすじ
映画は、J・ロバート・オッペンハイマーが学生時代に物理学の道へ進む場面から始まります。優れた才能を持つ彼は、ヨーロッパで当時の最先端科学を学び、やがてアメリカに戻ります。
マンハッタン計画と原爆開発
第二次世界大戦中、ナチス・ドイツが原子爆弾を開発しているとの情報がもたらされます。アメリカ政府は、これに対抗するため「マンハッタン計画」を開始し、オッペンハイマーが科学部門の責任者に任命されます。彼の指導のもと、ニューメキシコ州のロスアラモス研究所で科学者たちは原子爆弾の開発に取り組みます。
多くの葛藤と技術的な困難を乗り越え、ついに「リトルボーイ」と「ファットマン」という2つの原爆が完成します。1945年7月16日、トリニティ実験として初の原爆爆発実験が成功し、その破壊力にオッペンハイマーは畏怖の念を抱きます。
原爆投下とその後の苦悩
映画の後半では、広島と長崎への原爆投下の結果、オッペンハイマーが抱える内的葛藤が描かれます。彼は自分の研究が数十万人の命を奪うことに加担したという罪悪感に苛まれます。同時に、冷戦の到来によって核兵器の開発競争が激化し、自身の発明が世界の脅威となっていく現実を目の当たりにします。
政治的な圧力と孤立
原爆開発後、オッペンハイマーは核兵器の使用を制限するべきだと主張しますが、政府や軍部との対立が生まれます。さらには、冷戦時代の反共主義の波に巻き込まれ、彼の過去の政治的な関与が問題視されます。科学者としての地位を失い、社会的に孤立するオッペンハイマーの姿が描かれます。
終幕
映画の最後では、オッペンハイマーが「私たちは世界を破壊する者となった」という言葉を口にし、科学の進歩とその代償について深い問いを投げかけています。その言葉は、観客に科学と倫理の関係について考えさせる印象的な締めくくりとなっています。
「オッペンハイマー」は、歴史上の重要な出来事を通じて、人間の進歩の光と影を描いた壮大な作品です。科学者としての功績だけでなく、その裏にある葛藤や人間らしさを浮き彫りにすることで、多くの観客の心を動かしました。クリストファー・ノーラン監督の映像美とキャスト陣の圧倒的な演技が見どころです。
もしまだご覧になっていないなら、ぜひ一度観てみてください!科学、倫理、そして人間の複雑さに迫るこの作品は、観た後も深い余韻を残すこと間違いありません。
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