マレーシアの地震事情

マレーシアの地震リスク マレーシア
マレーシアの地震リスク

マレーシアにおける地震リスクと過去に発生した地震について、今回はできるだけ分かりやすく説明していきます。地震は日本に住んでいる方にとってはとても身近な自然災害ですが、マレーシアではどうなのでしょうか?「マレーシアって地震ないんじゃないの?」と思っている人も多いかもしれません。しかし実際には、まれに地震が起こることがありますし、周辺国で起きた大地震の影響を受けることもあるのです。


マレーシアの地震事情:基本的な地理的背景

まず、マレーシアの地理的な特徴から見てみましょう。

マレーシアは、ユーラシアプレートの安定した部分に位置しています。そのため、日本やインドネシアのように「プレート境界」に直接位置していないため、大きな地震が頻繁に起きる国ではありません。インドネシアは「環太平洋火山帯」に含まれており、地震や火山活動がとても活発ですが、マレーシアはこの帯の外にあります。

そのため、マレーシアは「比較的地震のリスクが低い国」と言われています。しかし「ゼロ」ではありません。特に、マレー半島の西側(ペナン州やクダ州など)や、ボルネオ島のサバ州では、小さな地震や揺れが観測されたことがあります。


マレーシアで実際に起きた地震の記録

2004年 インド洋大地震と津波の影響

2004年12月26日、スマトラ島沖でM9.1の巨大地震が発生しました。これは「インド洋大地震」と呼ばれ、世界中に甚大な被害をもたらしたことで知られています。

震源地はマレーシアのすぐ隣、インドネシア・スマトラ島の沖合です。この地震により発生した大津波が、タイ、スリランカ、インドなどを直撃しました。マレーシアでも、ペナン州やクダ州などの西海岸で津波が押し寄せ、死者68人、行方不明者6人、負傷者約200人の被害が出ました。

この災害は、マレーシア人にとって「地震と津波は他人事ではない」と強く認識させた出来事となりました。

2015年 サバ州キナバル山地震

2015年6月5日、ボルネオ島にあるサバ州で、マグニチュード6.0の地震が発生しました。震源はキナバル山の周辺で、震源の深さは10km程度と浅かったため、かなり強い揺れが周囲を襲いました。

この地震では18人が死亡し、その多くは登山中だった観光客でした。日本人の中学生も犠牲となり、日本でも報道されました。山が一部崩れ、登山道がふさがれるなどの大きな被害が出ました。

この地震は、マレーシア国内で起きた地震の中でも最も大きな被害を出したもののひとつです。


地震の少ない国なのに、なぜ揺れを感じることがあるのか?

マレーシアは大きなプレート境界からは離れているため、国内で大きな地震が起きる確率は低いです。しかし、周辺国での巨大地震の影響は避けられません。

スマトラ島はマレーシアの西にあり、ここでは大きな地震がたびたび発生します。スマトラ沖でM7.0以上の地震が起きると、ペナン州や首都クアラルンプールでも揺れを感じることがあります。

これは「遠地地震の揺れ」と呼ばれ、震源地から数百キロ離れていても、建物の高層階などでは体に感じる揺れが発生することがあります。


マレーシアの建物は地震に強いの?

マレーシアでは、地震対策が日本ほど厳しくはありません。というのも、地震リスクが低いとされてきたためです。そのため、古い建物や、構造の基準が緩い地域では、大きな地震が起きた場合に倒壊のリスクがあります。

しかし、近年は周辺国での地震リスクが高まっていることから、クアラルンプールのような都市では高層ビルの耐震設計が進められています。特に外国企業や大手開発会社によって建設されるビルには、日本の技術が取り入れられていることもあります。


津波への備え

地震よりも、マレーシアにとっての大きなリスクは「津波」です。2004年のインド洋津波をきっかけに、マレーシア政府は「津波警報システム」の整備を進めました。

現在では、マレーシア気象局(Malaysian Meteorological Department)がインドネシアやタイなど周辺国と連携して、津波の早期警報を行う体制を整えています。

また、ペナンやランカウイのような観光地では、津波避難ルートの案内や避難訓練が行われるようになりました。


将来のリスクは?

専門家によると、マレーシアの地盤は比較的安定していますが、地球規模でのプレートの動きは変わり続けています。そのため、これまで地震がなかった地域でも、将来的にリスクが出てくる可能性はゼロではありません。

特に、サバ州やスマトラに近い地域では、今後も注意が必要です。また、気候変動などが引き金となり、これまで想定していなかった自然災害が発生することもあります。


地震を感じたときにどうする?

マレーシアでは地震の経験が少ないため、多くの人が「揺れたときにどう行動すればよいか」を知りません。これはとても危険です。

以下は、地震を感じたときの基本的な行動です:

  1. すぐに身を守る:机の下に隠れる、頭を守るなど
  2. 出口を確認:揺れが収まってから、安全な場所に移動
  3. エレベーターは使わない:階段を使うこと
  4. 情報を得る:気象局やニュースで状況を確認
  5. 津波注意:海の近くでは、揺れが小さくても高台に避難

まとめ:マレーシアに住むなら知っておきたいこと

  • マレーシアは大地震の多発地域ではありませんが、まれに地震が起きることがある
  • スマトラ沖など周辺国の地震の影響を受けることがある
  • 2004年の津波や2015年のサバ州の地震のように、命に関わるケースもある
  • 津波対策や耐震設計は徐々に整備されつつある
  • 地震が起きたときの基本的な行動を知っておくことが大切

マレーシアに住んでいる人やこれから移住・旅行を考えている人にとって、「地震が起きるかもしれない」という前提を持っておくことは、安全な生活を送るためにとても重要です。

気象局や防災ガイドラインをチェックし、自分自身や家族の身を守る行動を考えておきましょう。いざというときに、正しく行動できる人が、自分だけでなく他の人の命を救うことにもつながります。

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